電磁波が胎児に与える影容とは?

電磁波の害が一般に指摘されはじめたのは、もう二十年くらい前のことだ。当時は、ちょうどパソコンが企業などに普及しはじめたころで、電磁波にょる健康障害もVDT(ビジュアル.ディスプレィ•ターミナル)作業者に関するものが中心だった。

一九八〇年の夏、カナダのトロント.スター新問社が、同社でVDT作業に従事していた女性が高率で先天性の障害をもつ赤ちやんを出産したと報告し、大きな襲撃を呼んだ。その後、欧米ではVDT作業者に興常妊娠や流産、先天性障害児の出産が多いといった報告が次々に発表された。その影響もあって、日本でも電磁波の影響を防ぐ妊婦用のエプロンなどが登場しているわけだ。

しかし、こうした妊娠の異常がはたして本当に電磁波によるものなのか、動物実験なども行なわれたが、はつきりした結論は得られなかつた。印象的だつたのは欧米と日本との対応の違いだ。当時、VDT障害に関する世界大会で、スゥエーデンの大臣は、たとえ明白な証明がなくても、健康を害する疑いのあるものは、できるだけ減らしていこうではないか、と発言している。しかし、日本の対応はきわめて鈍いものだった。当時の総評や自治労などが大規模な調査を実施し、そこでもコンビユータを扱う職場で働く女性に妊娠や出産の異常が多いと結論されたが、積極的に電磁波の害を明らかにして、身の周りから減らしていこぅという流れにはつながらなかったのだ。

日本の産業界もこの問題になると、きわめて口がおもかった。

そして、またいま、電磁波の健版陬迸が新たに問題になっている。電気製品はもちろん、急速に普及した携帯電話など、身の周りの電磁波は増加するばかりだ。そんななかで、ガンとの関係が新たに電磁波に目を向ける引き金になっている。

これも、最初の報告はかなり昔に遡る。一九七九牢、スゥェーデンのヮルトハィマ丨博士が送電線の近くに住んでいる子どもに白血病の発症率が高いとする疫学調査の結果を発表した。欧米では、以後さまざまな疫学調査が行なわれ、現在ではなんらかの発ガン因子をもつ人が電磁波を浴びるとガンになりやすいのではないか、といわれている。簡単にいえば、すべての人に害があるわけではないが、電磁波はガンの促進因子のひとつだといぅことになる。

こぅした報告から、日本でも送電線の設置に反対運動が起こるなど、電磁波に対する不安が高まっている。そこで、遅まきながら科学技術庁が日常生活で浴びる電磁波と小児白血病の因果閲係を調べる国内初の疫学調査に着手することになった。資源エネルギー庁なども、乳ガンとの問係を励物実験で明らかにしていくと発表している。

すでに、同庁は送電線などから発生する五〇〜六〇HZの磁界は動物の生殖に影響を与えないという実験結果も発表している。

しかし、世界的には電磁波による影響に関して、異常妊娠やガンばかりでなく、精子の減少も報告されている。電磁波に健康障害があるとなれば、産業界に与える影響は莫大なものになるだろう。そこで、健康障害の疑いやその可能性があるものはなるべく避けていこうと考えられるかどうか。基本的なポリシーの有無で、報告結果のとらえ方や社会に与える影響もかなり違うのではないか、と思うのだが。

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