性神-性器信仰は’ いつごろ始まったのだろう?

性神-性器信仰は’ いつごろ始まったのだろう?

残念ながら入ったことがないのだが、日本のいたるところに秘定館と呼ばれる謎めいた施設がある。「いったいどんな宝だろう?」と勘違いしてうっかり女一人で入ってしまった知人の話によると、そこには扔性器の形をした自然石や、女性器のようなくぼみのある天然木が、所狄しと並べられていたそうだ。

このような性器をかたどった偶像への信仰は、日本だけでなく世界各地で見ることができる。男性器の形の神像がもっともよく知られているのが、ヒンドウー教のシヴア•リンガ信仰だ。シヴァとはヒンドウー教の最高神の一人で、宇宙の破壊をつかさどり、舞踏の神でもある。シヴァの神像は普通、炎の輪の中で踊る^性の姿で表わされる。一本の手で破壊の炎を、別の一本の手(シヴァ像の手は全部で四本ある)で舞踏のリズムをとる打楽器をかかげている姿がおなじみだ。そのシヴァのもうひとつの神像がシヴァ•リンガなのだ。

名前だけなら(おそらく映画『インデイ•ジョーンズ魔宮の伝説jの中ででも)聞いたことがあるかもしれないが、このシヴァ•リンガはまさに男根の形をした神像だ。リンガとは、サンスクリット語で「シンボル」を意味し、ヒンドウー教徒は男根の形をした彫像を、このシヴァの巨大なエネルギーと生殖力を示すしるしとして信仰しているのだ。

ところが、このシヴァ•リンガ信仰は、どうやらシヴァを信仰するヒンドウー教よりも歴史が古いらしく、紀元前二千五百〜前千五西年ごろのインダス文明にはもう存在していたようだ。モヘンジョ•ダ遺跡からも円錐形のリンガが発見されている。

また、ギリシャや古代ローマにも立派に性器信仰は存在した。古代ローマでは、性器の形をした魔除けが流行していたというし、ギリシャではヘルマイという男性器をもつ柱が信仰された。ヘルマイは、別名ヘルメス柱というとおり、頭頂部にヘルメス神の頭をのせた四角柱で、货ん中あたりに勃起した男根がついているものだ。

日本でも、古くは縄文時代の磨製石器に石棒というものがある。これは文字どおり石製の棒で、はしっこが亀頭の形に丸く成型されていることから、男根を写した祭祀のための道具とされている。

性器信仰はその後も脈々と受け継がれ、いまでも背森県むつ市の恐山では、奉納されている木でできた男根で患部をなでると治癒するという言い伝えが残つている。明治時代まで日本全国にあつた道祖神は、男性器と女性器(あるいは性交している男女)をかたどつた石像を道の辻に置いたもので、魔の侵入を防ぐとして信仰されていた。

神秘的な力をもつと考えられたのは何も男性器ばかりではない。日本の古代の祭祀場とされる怒座には、巨大な岩や洞窟が選ばれたが、これらはしばしば女性の陰部の形をしているという。女性器には魔を祓う力があるとされ、桃の節句にお雛様に供えられる菱餅も女性器をかたどったものだという説がある。男性器も女性器も生殖と盌饒のシンボルであると同時に、使用者の無事を守る魔除けでもあつたのだ。

では、いつたいこの性器信仰はいつごろ始まつたものだろう?日本を離れ、はるか世界にまでたどつていくと、性器信仰の起源はなんと縄文時代よりもさらに昔、人類文化の夜明けにまでさかのぼるのだ。

紀元前三万〜前八千年の晋、ヨーロッバ各地の洞窟に壁画を残した人びとがいた。生き生きとした励物の姿を描いた、フランスのラスコーやスペィンのアルタミラの洞

窃壁画を、教科遵で見た人も多いだろう。彼らこそ絵を発明した最初の人類、旧石器時代のクロマニヨン人だ。彼らの洞®壁画の中に、扔性器や女性器と思われる記号が多数描かれているのだ。たとえばフランスの洞からは、男性器、女性器、そしてその組み合わせと思われる、三十秫類を超える記号が発見されている。つまり人類は文明を発明したころ、文-/-を^くよりも先に、すでに性器のシンボルを壁に描いていた ことになる。もちろんこれ単なる落書きではなく、なんらかの祭祀の儀式のために 描かれたものと考えられている。

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