そもそもステロイドって何?治療に用いられるグルココルチコイド

そもそもステロイドって何?治療に用いられるグルココルチコイド

前節までに、ここ数十年のアトピーの歴史を振り返ってみました。これまでクローズアップされた問題に迫るには、ステロイドという薬をよく理解しなければなりません。

そもそも「ステロイド」というのは、「ステロイド骨格」をもつたくさんの化学物質の総称です。身近な例では「コレステロール」もステロイド骨格を持つステロイドの一つなのです。数あるステロイドの中でも、アトピー治療に用いられるステロイドは、副腎皮質ホルモン、その中でも、グルココルチコイドと呼ばれる種類です。この本で「ステロイド」というときは、このグルココルチコイドをさすと考えてください。

さて、ステロイド外用剤にふくまれているのは、天然の副腎皮質ホルモンとよく似た構造の化学合成物質です。ですから、ステロイド外用剤のチユーブには、「外用合成副腎皮質ホルモン剤」と記されているのです。

化学合成されているというと抵抗を感じるかもしれませんが、私たちが使う薬の多くが化学合成されています。天然物から抽出される生薬に比べ、製品としてコントロールしやすく、不純物も少なかったりして、実はかえって安全なケースも少なくありません。ですから、化学合成されていること自体は、それほど大きな問題ではないのです。

化学合成で問題があるとすると、天然にはあり得ないずっと強力な薬剤を合成することができる点にあります。ステロイド外用剤には5つのランクがありますが、上のランクになりますと、天然の副腎皮質ホルモンの何万倍以上もの効果をもっているのです。

ホルモンというものは、生体内でごく微量で働き、生命のハランスを保つ働きをしています。ホルモンを外から与えつつ、バランスを崩さないようにするのは、実は意外に難しいことなのです。なぜなら、生命は、外からホルモンを与えられることを想定して進化してきてはいないからです。外から非現実的な力をもつ人工の合成ホルモンが与えられる、というのは、生命からすると超ビックリ!の想定外の出来事なのです。
ステロイドは、合成副腎皮質ホルモン剤にしろ、私たちの体内で作られる副腎皮質ホルモンにしろ、ひじょぅに多くの作用をもちます。体内の糖質やタンパク質の代謝の調整、電解質(カリウム•ナトリウム)の代謝の調整、カルシウムや骨の代謝の調整、免疫抑制作用•抗炎症作用などです。すべてが、生命の根幹を支える作用です。実際、ステロイドが体から完全に枯渴すると、人は速やかに死にいたります。

少し大げさな話になりましたが、これらの作用の中で、アトピーにステロイドが使われるのは、免疫抑制作用•抗炎症作用の効果の故です。つまり、ステロイド外用剤は、「アトピーそのものを治療する薬」ではなく、「症状を抑える薬」といえるのです。

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